八月十一日 白雲の空をおほひて湧き湧くを一と日ながめてつひに飽かざり 火てふものの生にかゝはる因縁を思ひみるかな灸をすゑつゝ 八月十五日 菅原さん来訪。お花を下すつた。紅をさしたやうな百合、薄紫の刷毛のやうな花、菊、りんだう。 u3000日記はこゝで終つてゐる。 u3000八月十七日、あの雷雨の夜、容体が急変して、一週間の後、遂に呼吸をひきとつた。 u3000かうして、二十年の間を隔てた日記の断片を二つ拾つてみると、私には、彼女の生涯といふものが、なにか満たされないまゝに終つたやうな気がしてならぬ。 「満たされる」とはどういふことか。それは結局生き方の問題である。彼女が私との結婚生活に「あるもの」を求めてゐたことはわかるが、それが、私に云はせると、すべて結婚生活に求むべきものであつたかどうか、大いに疑問があるのである。 u3000家庭生活が女の生活の全部だとする説に私は必ずしも同意するものではない。女はまづ母でなければならぬといふ意味に於てさへも、私は、母といふものを一家族が独占すべきものではないと信じてゐる。川口市u3000歯科
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نویسنده: miu