u3000村長の意図が村民に伝へられても、それがぴんと胸に感じられたものは全部とは云へなかつたかも知れない。しかし、ひと度、工事竣工の暁、村は見違へる相貌を呈した。全村民は、村長のまわりに集つて狂喜乱舞した。感極つて泣くものさへあつた。勤労奉仕の酬では、田の水に不自由をしないといふことだけではなかつたのである。
u3000これが村長の一片の思ひつきに過ぎなかつたなら、それはたゞそれだけの話である。私は、この村長に関する、もう一つの実話から、興味のある示唆を受けた。
u3000村の財政建直しに全力をあげてゐる頃、村民の負債整理を実行するために、厳しい掟を設けた。その一つは、借金が一文もなくなるまで、住居に金をかけることを絶対に禁じたのである。ところが、ある農民が村長のところへやつて来て、自分はまだ村に借りがあることは事実だが、どうしても今のまゝの住ひでは間に合はなくなつた。板の間を仕切つて一と部屋にする必要が生じたといふのである。そのためになにがしの金がいるのだが、と、彼は頭をかきながら、その金の工面をまで相談するのであつた。その理由はと、村長が訊ねると、実は息子に嫁を取ることにしたについて一と間きりの家ではなんとしても……といふ、それをみなまで云はせず、村長は、「よし、わかつた。早速これでなんとかしろ」と、幾枚かの紙幣をそこへ投げ出したといふことである。
u3000かう云つてしまふとなんでもないことのやうであるが、この村長の健康な道徳的感覚が鋭く閃いてゐるではないか。経済更生の模範村であればこそ、この事実は尊く、かつ珍しく私の心をうつのである。
戸田 戸田公園でどこよりもかわいいヘアスタイルを提案
برچسب:
نویسنده: miu
تاريخ: جمعه
12 ارديبهشت
1393 ساعت: 10:02